ビジネス文書や手紙を書くとき、時候の挨拶文をどのように書けばいいかを悩みますね。季節も初旬と下旬では全く違ってきますし天候も年々変わっていきます。しかし日本は二十四節気があるように基本は変わってないように思うのです。
季節の挨拶の「時候」には「漢語調」と「口語調」の2通りがあります。
「漢語調」は例えば夏なら「盛夏の候(せいかのこう)」というように、
季節を表す言葉に「~の候」をつけます。
特に、ビジネス・公的な手紙や、目上の方に出す手紙の場合には、
「~の候」とつく漢語調の挨拶を使うようにしてあらたまった丁寧な言葉にすることが慣例になっています。
「口語調」は例えば夏であれば「毎日暑い日が続いておりますが」というように話し言葉で季節感を表します。
柔らかく親しみやすい感じがするので、親しい知人や友人など、個人と個人との手紙の際に用いられるのが一般的です。
また、「候」と「みぎり」のどちらを使ってもほとんど問題にはなりませんが、
「みぎり」は女性言葉であるということからビジネス文書には「候」を使う方がいいでしょう。
文書や手紙で使われる時候は、月によって使うものが決まっていまして
色々ありますが、ここでは、一般的によく使われている言葉をまとめてみました。
目次
■四月 卯月(うづき)の挨拶文
【漢語調】
花冷えの候(はなびえのこう)
春爛漫の候(はるらんまんのこう)
陽春の候(ようしゅんのこう)
仲春の候(ちゅうしゅんのこう)
春嵐の候(しゅんらんのこう)
惜春の候(せきしゅんのこう)
春和の候(しゅんわのこう)
春眠の候(しゅんみんのこう)
春粧のみぎり(しゅんしょうのみぎり)
花だよりも伝わる今日この頃、益々ご健勝のことと存じます。
若葉の緑が目にも鮮やかなこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
咲き始めたばかりの桜に無情の雨が降り注いでおります。
すっかり春らしい暖かい季節となりました。
春風に吹かれてどこか遠くへ旅をしたくなりました。
吹く風も柔らかな季節となりました。
ゴールデンウィークを前に仕事の追い込みに入っております。
満開の桜を見ていると、何故か心が優しくなるような気がします。
最後の結びの挨拶として
「ご自愛下さい」「益々のご発展を祈念します」のように先方の健康や活躍を祈る言葉を述べます。
結びの挨拶として、
・季節の変わり目ゆえ、どうぞくれぐれもご自愛ください
・そちらの桜便りも楽しみにしています。
・新しい環境で心機一転、皆さまの幸福をお祈りいたします
■五月 皐月(さつき)の挨拶文
【漢語調】
晩春の候(ばいしゅんのこう)
緑風の候(りょくふうのこう)
軽暑の候(けいしょのこう)
青葉の候(あおばのこう)
向暑の候(こうしょのこう)
新緑の候(しんりょくのこう)
立夏のみぎり(りっかのみぎり)
【口語調】
若葉が目にまぶしい今日この頃です。
風薫る新緑の季節、皆様におかれましてはお変わりございませんか。
風薫るさわやかな季節となりました。
晴れ渡った青空に鯉のぼりが鮮やかにひるがえっています。
日中は汗ばむほどの陽気です。
母の日にいただいたカーネーションが窓辺で微笑んでいます。
道行く人々の装いもいつしか軽やかになっています。
結びの挨拶として、
・庭のつつじが見ごろとなりました。一度お出かけください
・梅雨入りも間近でございます。体調を崩されませぬよう、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
・大空を泳ぐ鯉幟に負けないよう、我々も頑張りましょう
■六月 水無月(みなづき)の挨拶文
【漢語調】
立夏の候(りっかのこう)
初夏の候(しょかのこう)
梅雨の候(つゆのこう)
入梅の候(にゅうばいのこう)
小夏の候(こなつのこう)
五月雨の候(さみだれのこう)
薄暑の候(はくしょのこう)
長雨の候(ながあめのこう)
梅雨寒の候(つゆざむのこう)
深緑の候(しんりょくのこう)
向暑のみぎり(こうしょのみぎり)
【口語調】
初夏のさわやかな風が木々の緑とたわむれる頃となりました。
衣替えの季節となり、道行く学生のシャツが半そでに変わりました。
暑さが日ごとに増してまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
空には白い雲が浮かび、さわやかな初夏の季節となりました。
庭の紫陽花の花も美しく咲き誇っています。
うっとうしい梅雨空が続いておりますが、お元気でいらっしゃいますか。
長雨が続き、梅雨明けが待ち遠しい今日この頃です。
水の張られた田んぼに若苗が整然と並ぶ季節となりました。
吹く風にも夏めいた気配を感じる今日この頃。
結びの挨拶として、
・これから暑い季節を迎えますので、いっそうのご自愛のほどお願い申し上げます
・この夏はご一緒に我が家でバーベキューでもいかがでしょう
【時候の挨拶】
一月・二月・三月 / 四月・五月・六月 / 七月・八月・九月 / 十月・十一月・十二月
まとめ
SNSが普及している世の中ですが、ビジネスシーンやあらたまった手紙では時候の挨拶はよく使われています。
肌で感じる季節感を自分の言葉で表現してみてください。会話の中にも時候の挨拶は取り入れやすくコミュニケーションを豊かにしてくれるツールと思います。