「時候」とは四季それぞれの気候・天候のこと。
拝啓や謹啓などの頭語のあとに、その時の天候や気温など、双方で共有できる話題を入れる部分になります。
月によって使うものが決まっていて、いろいろありますが、ここでは一般的に使われる時候の挨拶文を紹介します。
季節の挨拶の「時候」には「漢語調」と「口語調」の2通りがあります。
「漢語調」は例えば夏なら「盛夏の候(せいかのこう)」というように、
季節を表す言葉に「~の候」をつけます。
特に、ビジネス・公的な手紙や、目上の方に出す手紙の場合には、
「~の候」とつく漢語調の挨拶を使うようにしてあらたまった丁寧な言葉にすることが慣例になっています。
「口語調」は例えば夏であれば「毎日暑い日が続いておりますが」というように話し言葉で季節感を表します。
柔らかく親しみやすい感じがするので、親しい知人や友人など、個人と個人との手紙の際に用いられるのが一般的です。
文書や手紙で使われる時候は、月によって使うものが決まっていますが、
日本の季節を表す二十四節気も参考にしてみてください。
目次
■一月 睦月(むつき)の挨拶文
【漢語調】
初春の候(しょしゅんのこう)
新春の候(しんしゅんのこう)
麗春の候(れいしゅんのこう)
頌春の侯(しょうしゅんのこう)
小寒の候(しょうかんのこう)
春寒の候(しゅんかんのこう)
大寒の候(たいかんのこう)
寒風の候(かんぷうのこう)
冷気の候(れいきのこう)
寒梅の候(かんばいのこう)
降雪の候(こうせつのこう)
酷寒のみぎり(こっかんのみぎり)
新春のお喜びを申し上げます。
初春の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
皆さま、お元気で新年をお迎えの事とお喜び申し上げます。
今年の寒気はことのほか厳しく感じられます。
新春とはいえ寒さ厳しく、水道の蛇口も凍る寒さです。
松飾りもとれ、普段の生活が戻ってまいりました。
積雪は軒につかえ、例年にない寒さに身も凍る思いです。
最後の結びの挨拶として
「ご自愛下さい」「益々のご発展を祈念します」のように先方の健康や活躍を祈る言葉を述べます。
・昨年同様、本年もどうぞよろしくお願いします。
・厳寒のおり、お風邪など召しませぬようご自愛ください
・春には遠い季節ですが、どうぞお身体を大切に
■二月 如月(きさらぎ)の挨拶文
【漢語調】
立春の候(りっしゅんのこう)
晩冬の侯(ばんとうのこう)
残冬の候(ざんとうのこう)
星寒の候(せいかんのこう)
春寒の候(しゅんかんのこう)
梅花の候(ばいかのこう)
向春の候(こうしゅんのこう)
余寒の候(よかんのこう)
雪解けの候(ゆきどけのこう)
春雪の候(しゅんせつのこう)
寒明けの候(かんあけのこう)
紅梅の候(こうばいのこう)
梅鴬の候(ばいおうのこう)
【口語調】
寒気も少しづつ緩み始めましたが、皆さまいかがお過ごしですか。
梅の蕾もそろそろ膨らみ、春の訪れが待ち遠しく感じます。
暦の上では春ですが、冬の名残がなかなか去りません。
春とは名ばかりでまだ真冬のように寒くダウンが手放せません。
福寿草の花が咲いて春の訪れを感じます。
雪解けを待たずして顔を出したふきのとうに春の息吹を感じます。
長い冬もいよいよ終わりに近づいています。
結びの挨拶として、
・まだまだ寒い日が続きますが、どうぞ御身おたいせつになさってください
・春の訪れを楽しみにすることにいたしましょう
■三月 弥生(やよい)の挨拶文
【漢語調】
早春の候(そうしゅんのこう)
浅春の候(せんしゅんのこう)
春暖の候(しゅんだんのこう)
春雨の候(しゅんうのこう)
春色の候(はるいろのこう)(しゅんしょくのこう)
萌芽の候(ほうがのこう)
春風の侯(しゅんぷうのこう)
軽暖の候(けいだんのこう)
弥生のみぎり(やよいのみぎり)
【口語調】
寒さも緩みひと雨ごとに春の息吹が立ち込めてまいりました。
弥生のみぎり、○○様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
木々の縁日ごとに色めく季節になりました。
急に春めいて桃の蕾もふくらみはじめました。
小川の水もぬるみ菜の花は今が盛り。
天候の変わりやすい花どきの季節です。
春の陽気に包まれて、菜の花も今が盛りと咲き誇っています。
暑さ寒さも彼岸までと申すとおり、ここのところすっかり暖かくなりました。
結びの挨拶として、
・季節の変わり目ゆえ、どうぞくれぐれもご自愛ください
・巣立ちの春に、心からのエールを送ります。
・まだまだ寒さが残っております。お風邪など引きませんようお気をつけください
【時候の挨拶】
一月・二月・三月 / 四月・五月・六月 / 七月・八月・九月 / 十月・十一月・十二月
まとめ
四季折々の気候やその時々の陽気を「時候」といい「漢語調」と「口語調」があります。
同じ月でも上旬、中旬、下旬では、季節感にも若干の違いがあるものです。
季節外れの暖かさの事を「時候外れの暖かさ」とかいうように、季節に応じた使い方を用いるように気をつけましょう。
お友達や親しい方には、形式文を丸写しするのではなく「口語調」にて、自分の言葉で表現すると、自分らしさが伝わり良いと思います。